ここでは、圧迫骨折を放置しておくことで引き起こされる、逆流性食道炎についてまとめてみました。
「背骨の曲がり・ゆがみ」のページでは、圧迫骨折によって脊椎がつぶれることで、背骨が曲がったりゆがんだりしてしまう脊椎側弯症・後弯症という別の症状を引き起こしてしまう恐れがあることを紹介しました。
これだけでももちろん大事(おおごと)なのですが、その悪影響は単なる曲がり・ゆがみの問題だけに止まりません。
実は、特に脊椎後弯症の人のなかには、のちに逆流性食道炎を患う人が多いことが医学的にわかってきているのです。
おさらいになりますが、脊椎後弯症というのは文字通り、脊椎(背骨)が後ろに弯曲して、いわゆる猫背のような状態になってしまう症状です。
猫背の状態だと、身体の前方に常に重心がかかるようになり、その結果として腹部は圧迫され続けます。腹部が圧迫されることによって、胃液が胃から食道へと逆流して炎症を起こしてしまう、これが逆流性食道炎を発症する基本的な仕組みです。
ちなみに、胃と食道のつなぎめには胃液の逆流を防ぐ弁の役目を果たす筋肉があるのですが、圧迫骨折になりやすい高齢者はこの筋肉も弱っているため、余計に逆流性食道炎を起こしやすいといった事情もあります。
逆流性食道炎のもっとも特徴的な症状は胸やけです。併せて胃液が込み上げてくるような感じを覚える人も結構いるようです。その他には、げっぷ、胃もたれ、喉の不快感といった症状が表われることもあります。
猫背の状態で腹部が圧迫された状態が続くと、胃の上部が横隔膜よりも上にはみ出す「食道裂孔ヘルニア」という、また別の症状を引き起こしてしまう危険性もあります。
胃が上にはみ出すと、胃液の逆流を防ぐ機能が更に低下するので、単に逆流性食道炎になりやすいばかりでなく、なったあとに重症化しやすくなってしまうので、より注意が必要です。
逆流性食道炎は日常生活を見直すことによって症状を軽減することができます。
もしその兆候が認められたなら、胃酸の分泌を促す食べ物(脂肪の多いものや甘いもの)の摂取は極力控え、食後数時間は横になるのも避けた方が良いでしょう。