骨折というと、枝が折れるように横からかかる力によってポキっと骨が折れる様子をイメージする方が多いかもしれませんが、縦方向に力が加わることで起こる「圧迫骨折」というものもあります。
骨粗鬆症になりやすい女性に多い骨折と言われることもありますが、男性でも圧迫骨折をすることは決して珍しいことではありません。
圧迫骨折の中でも男性や若年層の方でも多いのが階段からの転倒や、高いところからの転落事故といった、外力が強く加わることで引き起こされるタイプの圧迫骨折です。
圧迫骨折は、骨折の部位によって「腰椎圧迫骨折」「胸椎圧迫骨折」などと呼ばれることがあります。腰椎圧迫骨折とは、背骨の中でも腰からお尻にかけて分布している骨。胸椎とは、首から腰上までの骨を指します。
圧迫骨折の症状は、人によって「動けないほど痛い」という方から、ぎっくり腰だと勘違いする方のように、激痛とまではいかない痛みを感じる方まで、さまざまです。
腰椎圧迫骨折の場合、ぎっくり腰だと思ってそのままにしていたけれど、痛みが引かずに「おかしいな?」と思い病院を受診することもあるくらい。
また、痛みの他に次のような症状が見られることがあります。これらは、脊髄が骨折により圧迫されることが原因で見られる症状です。
圧迫骨折になる原因として考えられるのは、どのようなものがあるのでしょうか?原因別に状況や特徴を見てみましょう。
事故や転倒などにより外からの力が加わって起こるタイプです。 若い世代の方でも起こる可能性があります。
ホルモンバランスの変化によって閉経後の女性は骨粗鬆症になりやすく、その結果骨粗鬆症が原因で圧迫骨折になりやすい状況になることがあります。男性でも、生活習慣や加齢によって骨粗鬆症は大いになり得る病気です。
骨粗鬆症で骨がもろくなってしまえば、ちょっとした拍子に尻餅をついて圧迫骨折をすることも大いにありえます。
男性に多い圧迫骨折は、先ほど挙げた外部からの力によるものと、骨粗鬆症によるものがあります。改善方法・治療方法としては安静にして回復を待つ「安静治療/保存療法」もしくは、手術による「外科治療」のいずれかの方法がとられることとなります。
比較的、圧迫骨折による痛みが我慢できる程度であれば、コルセットなどを着用して患部を動かさないようにしながら経過を見る安静治療が取られます。薬は、痛み止めとして、消炎鎮痛薬が処方されます。
もしも痛みがひどい、麻痺が出ているといったような場合には、全身麻酔をかけて手術治療が行われます。
骨の内部に骨セメントを注入して、潰れた骨の形を戻すので、入院が長引くことも大いにありえます。また、脊髄を圧迫している場合、早く治療しないと後遺症が残ってしまう場合もあります。痛みが長引いている、と思ったら自己判断やマッサージなどで対処しようとせず、早めに病院で検査を受けるようにしましょう。
男性に多い圧迫骨折のうち、日頃の生活で予防できるのが、「強い骨を作る」生活習慣と食生活です。
圧迫骨折と骨粗鬆症はセットで語られることも多く、男性であっても骨粗鬆症の予防を心がけることは、圧迫骨折の予防にもつながります。
喫煙は胃腸の働きを抑えて食欲をなくしてしまうだけでなく、カルシウムが体内に吸収されるのを邪魔してしまいます。そのため、喫煙習慣のある方は、骨粗鬆症になりやすいと言われています。
また、男性の中には、お酒が大好き!という方もいらっしゃるかもしれません。お酒には利尿作用があり、食事などから体内に入ったカルシウムを不必要に尿とともに排泄してしまうこともあるのです。
他の病気の予防にも繋がりますから、喫煙や過度の飲酒は是非控えるようにしましょう。
骨粗鬆症の予防には、運動も効果があると言われています。 激しい運動をする必要はありませんが、例えば毎日の生活の中で20〜30分ほど体を動かす時間を作るのも一つの手。
また、骨粗鬆症には、カルシウムの吸収をよくするビタミンDを生成する日光浴もよいと言われています。運動をするなら明るいうちに日光浴も兼ねてチャレンジしてみてはいかがでしょうか?