ぎっくり腰とは違う、激しい腰痛に見舞われる圧迫骨折は、くしゃみが原因で引き起こされるケースもあります。なぜ、くしゃみが圧迫骨折の原因になってしまうのか。くしゃみで圧迫骨折が起きた場合の対処法や予防法をまとめてみました。
加齢とともに骨がもろくなりやすい高齢者は、くしゃみや、体をねじるなど軽い力が加わるだけで骨折を引き起こしてしまうことは珍しくありません。
まさかくしゃみで骨折しているとは思わず、「原因はわからないけれど腰が痛いのが続いている」と訴える方も少なくありません。大切なのは、くしゃみや咳でも、圧迫骨折は起こりうると認識すること。
高齢の方が転んだり、強くなにかにぶつかったりしたわけでもないのに強い腰痛が続いている場合には、圧迫骨折を疑ってみましょう。
くしゃみが原因で圧迫骨折をしている場合、痛みの程度や場所は次のような特徴があります。
骨粗鬆症の方がくしゃみによって圧迫骨折していた場合、自然に治癒することもあるそうです。ただし、治ると言っても骨が変形を残している場合もあり、また骨折をする可能性も高くなります。
また、重症例では脊髄に損傷をきたし、足にしびれや麻痺が出る場合もあります。くしゃみをしてから腰が痛いと感じたなら、早めに医師に相談しましょう。
具体的な治療方法は、次のような流れとなります。
レントゲン検査や必要であればCT、MRIなどを使って検査をする。 骨粗鬆症が疑われる場合には、骨密度検査をする。
「保存療法」といって、コルセットなどを使い患部を動かさないようにして治癒を待つのが一般的です。だいたい3〜4週間程度で痛みが緩和していきます。
合わせて、痛みが強い場合には痛み止めの薬が処方されるケースもあります。また、骨粗鬆症の進行を防ぐために、骨の吸収を抑えるホルモン剤を服用するケースもあります。
もしも圧迫骨折の程度がひどい場合。また、痛みがずっと残っている、骨折をした場所がさらに変形するなどの恐れがある場合には手術治療が行われます。
手術は、脊椎をプレートで固定する脊椎固定術や、骨セメントを使ったつぶれた脊椎を固める方法などがあります。
くしゃみによる圧迫骨折を治療するための薬には、「痛みを抑える」薬と、圧迫骨折を引き起こした原因である骨粗鬆症の治療を行う薬があります。
骨粗鬆症の治療で主に用いられている薬には、次のようなものがあります。
くしゃみで引き起こされる圧迫骨折は、ひとえに骨がもろくなっていることが大きなリスク要因です。
予防のためには、骨粗鬆症にならない、悪化させないための治療や生活習慣の見直しが必要です。
また、骨折した骨にまた負担をかけてしまう姿勢や動きをすれば再発してしまうこともありえますので、医師による指導のもと、骨に負担をかけないためのコルセットの着用などがすすめられることもあります。
骨粗鬆症の薬物治療はすぐに効果が出るわけではありません。しっかりと経過観察をしながら、普段の生活にも十分注意していきましょう。
参考:『骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折に対する治療』西田憲記 著 - 2016
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcns/25/9/25_718/_pdf