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経皮的椎体形成術・骨セメント治療(BKP、PVP)

ここでは、経皮的椎体形成術(BKP、PVP)について解説しています。

経皮的椎体形成術(けいひてきついたいけいせいじゅつ)とは

手術をする医師

骨粗鬆症などによる胸部や腰部の軽度圧迫骨折に対する手術法として挙げられるのが、経皮的椎体形成術(PVP)です。

圧迫骨折で潰れた椎骨を切開し、その中にセメントを充填して骨を固めて整復する経皮的椎体形成術は、安静と患部固定、投薬コントロールによる保存治療では取り除けなかった除痛の効果が期待できます。セメントを充填することから、「骨セメント治療」とも呼ばれています。

潰れた椎体に針を刺して直接セメントを注入するPVPに対し、椎骨や脊髄の変形した部位を切開し、そこに耐性の高いバルーンを使って骨の形を元に戻したうえでセメントを注入するという新しい術法がバルーン椎体形成術(BKP)です。

以下でPVP、BKPそれぞれの手法について詳しくご紹介しましょう。

発症後3ヶ月以内の急性圧迫骨折に特に効果的なPVP

PVPは欧米を中心に、1980年の後半ごろから行われてきた手術法で、術後1日から3日ほどで歩行が可能になるとも言われている即効性のある治療法です。

PVPは2000年にFDAで認可されていますが、日本では保険適用外の治療となっているため、施術が受けられる病院は限定されています。

PVPを受ける時には、患者はうつぶせの状態で検査台に寝転びます。

次に変形もしくは骨折部位の皮膚、皮下組織に局所麻酔を行い、潰れた椎体の内部に針を刺し、そこに骨セメントを注入します。

もっとも効果があると言われているのは発症後3ヶ月以内の急性圧迫骨折ですが、慢性化していても緩和効果が認められた症例もあったようです。

術後3日以内に高い除痛効果が現れると言われています。

現時点で効果の原理は解明されていませんが、骨折部位を固定化することで、骨膜などへの刺激が軽減されるため痛みが緩和されるという説が有力となっています。

また、骨セメントに含まれる成分や重合時に発生する90度近い温熱が神経に対して作用を及ぼすことも除痛への効果として考えられています。

現時点では、脊椎へのセメント注入に保険は適用されませんが、臨床試験が活発に行われていることから、今後はさらに普及する治療法かもしれません。

圧迫骨折から8週間経過しても痛みがある患者にはBKP

BKP(バルーン椎体形成術)は、経皮的後弯矯正術とも呼ばれる脊髄圧迫骨折の治療法です。

1990年代にアメリカで開発され、2010年には厚生労働省の認可を受け、2011年1月からは健康保険の適用対象となっています。

技術認定が受けられるBKP専門の技術研修施設で実習を行うことで施術できる圧迫骨折の新しい治療法として注目されています。

椎体形成術にはいろいろな術法がありますが、BKPではバルーンを使うということが一番の特徴と言えるでしょう。

傷のサイズも小さく、椎骨の左右に5mm程度の穴を開けるだけですから、治療後の回復が早いというのも特徴です。

治療時間は30分程度ですから、2時間近くかかるPVPと比べると体への負担もかなり少なく済みます。

また、一度脊髄圧迫骨折をすると別の椎骨が圧壊する確率が高くなると言われていますが、BKPで治療を行っておくと、続発のリスクが高い脊髄圧迫骨折の進行を防ぐ効果も期待できると言われています。

手術では、まず患部の皮膚を合計1cmほど切開し、そこに針を挿入して骨折部分までの経路を作り、バルーンのついた器具を入れます。

この器具に空気を入れながら少しずつバルーンを膨らませることで、潰れてしまっている骨をできる限り元の形に復元し、形が整ったらバルーンを抜きます。

バルーンを抜いた部分は空洞になるので、ここに骨セメントを充填して形を維持するというのがBKPの手術になります。

潰れたり曲がってしまった椎体を復元し、矯正(後弯形成)することで安定させ、痛みを緩和したり解消する効果が期待できるのがBKPです。

ただしBKPによる治療が受けられるのは、椎体の圧迫骨折から8週間経過しても、痛みが消えず変形が残っている患者に限定されています。

例外としては、脊髄の圧迫骨折が起こった際に、レントゲンやMRIなどで検査をした結果、専門の医師がBKPによる治療が必要と判断した場合に治療が受けられます。

経皮的椎体形成術は、手術時間が短く筋肉に与えるダメージも少ないなどのメリットがあるのはもちろん、かなり高確率で痛みを和らげる効果が期待できる術法です。

手術を行ってから約1~2日で効果があらわれ、体の状態によっては3日後には歩行も可能になるので、入院期間が短く、仕事や家庭への負担まで減らせるという利点があります。

BKP手術

脊柱圧迫骨折に対する治療とリハビリ 〜原因と手術法まで〜 | 理学療法士によるリハビリ・ピラティス・予防

(http://www.pt-pilates.info/?p=1825)

経皮的椎体形成術/BKP・PVPが有効でない圧迫骨折の場合

3椎間以上の圧迫骨折や、保存療法でも治癒できない場合。そして、2椎間以内であってもBKPやPVPの施術が受けられないと医師が判断した場合は、さらに違う手術法で治療することになります。

重度の圧迫骨折には、後方固定術(TLIF・PLIF)低侵襲腰椎前方固定術(XLIF)など高度な固定術で治療しなければなりません。

BKPによる手術で考えられるリスク

画期的な治療法とされている経皮的椎体形成術(BKP、PVP)ですが、リスクがゼロというわけではありません。

BKPの手術によって考えられるリスクとしては、まず合併症が挙げられます。例えば、BKP手術の際に使用した骨セメントが骨外へ漏れてしまうことによって脊髄や神経を圧迫してしまったり、静脈内に漏れることによって肺塞栓を敷き起こしてしまったりする他、骨セメントによる感染症の可能性もあります。

また、医療費も心配です。保険が使えない分、高額な費用がかかってしまいます。さらに、心臓病や呼吸器疾患があったり、うつぶせになれない場合は治療を受けることができません。

BKP手術を行う前に医師と相談し、きちんと説明を受けて納得したうえで治療を始めましょう。

経皮的椎体形成術/BKP・PVPの一般的な治療期間は?

一言に治療期間といっても患者の年齢や症状によって期間は異なるため一概には言えません。一般的な経皮的椎体形成術(BKP)の入院期間は約7日間前後です。手術の翌日から起きて歩くことが可能です。患者のよってはまったく痛みがなくなる方もいます。

また、局所麻酔による骨セメント注入治療(PVP)においても、治療手術の所要時間が1椎体あたり30分間程度で、開始からおよそ60分~90分間で終了します。入院日数も、合併症などが発生しない限りは、4日〜7日間程度と短期間ですみます。

BKPに関しては、2011年から健康保険が適応されるようになりましたが、急性期は適応となりません。椎体の圧迫骨折から8週間が経過して、まだ痛みと変形が残っている場合に適応されます。

退院後も、手術後の骨の状況を確認するために、定期的にCTスキャンやレントゲンによる診察を行います。日常生活の大きな制限はないものの、重たい荷物を持つ、無理な姿勢をとるなど負担をかける行為は行わないようにしましょう。

経皮的椎体形成術/BKP・PVPの一般的な費用は?

費用に関しても椎関数によって異なります。1椎間の目安として、経皮的椎体形成術(BKP)の入院期間はだいたい1週間で、手術費用と入院費を合わせておよそ120万円です。

つまり3割負担者の方はおよそ36万円、1割負担の方は12万ほどかかります。

治療費は高額療養費の対象になりますので、健康保険や国民健康保険の加入者は、その月の内に同じ医療機関で発生した医療費が高額になった場合は、手続きを行うことで医療の窓口負担が軽減されます。

PVPに関しては、施術料金はおよそ30万円ほどかかります。PVPは保険診療の対象になっていないため全額を負担しなければなりません。

BKPは手術後の過ごし方も大切になります

退院後は、とにかく定期的な検診をきちんと受けることが重要になります。

上記した合併症のリスクを極力減らすためには、こまめな検査で問題がないかどうかをきちんと確認する必要があるからです。

また、手術をした箇所や周辺に痛みが発生した場合は、すぐに医師に相談をしましょう。

なお、BKP手術をした場合、骨がもろくなり、骨粗鬆症を発症する可能性もあります。万が一発症した際は、骨粗鬆症の治療や予防も必要となるので気をつけください。

経皮的椎体形成術(BKP、PVP)はこんな方にオススメ

元気な老夫婦

BKP、PVPのメリットとして考えられるのは、手術を受けた後の回復の早さ、そして入院期間の短さです。回復が早くなればなるほど、日常生活にも早く復帰ができます。また入院が短くなれば、その分入院費が抑えられ自宅で療養できるのがメリットです。

保存療法では時間がかかりすぎて、高齢者の場合は寝たきりになるリスクも出てしまいますが、回復が早ければそのリスクも軽減されるでしょう。

最近は、総合病院でも経皮的椎体形成術(BKP、PVP)の治療に力を入れている病院も増え、実績が豊富な医師も増えてきました。とはいえ、経皮的椎体形成術(BKP、PVP)はまだまだこれからという治療法です。

「本当に治療を受けて大丈夫なのかな?」「失敗したらどうなるんだろう…」といった不安を解消して治療を受けるなら、やはりちゃんと信頼できる医師を見つけなくてはいけません。圧迫骨折治療で評判の高い病院を探してみてください。自分の体のためにも、下調べはとても重要です。

PVPの実力が世界で認められていることをご紹介します。

PVPは1980年台に椎体血管腫に対して骨セメントを注入した事 (12)に始まり、その後ヨーロッパを中心に椎体血管腫、転移性腫瘍、悪性骨髄腫、悪性リンパ腫の治療として行われていた (13)が、1990年代後半に米国で骨粗鬆症性椎体骨折の患者に対する治療として多数例が報告される (14-16)ようになり、FDAもこの治療を認可し保険の支払いも可能となり、その数は増え続けている。

PVPは1980年台に椎体血管腫に対して骨セメントを注入した事 (12)に始まり、その後ヨーロッパを中心に椎体血管腫、転移性腫瘍、悪性骨髄腫、悪性リンパ腫の治療として行われていた (13)が、1990年代後半に米国で骨粗鬆症性椎体骨折の患者に対する治療として多数例が報告される (14-16)ようになり、FDAもこの治療を認可し保険の支払いも可能となり、その数は増え続けている。

出典: (PDF)骨粗鬆症性椎体骨折に対する経皮的椎体形成術 (Percutaneous Vertebroplasty:PVP)を安全に行うための指針[PDF]

まだ日本では保険が使えない治療法ではあるものの、世界では保険の支払いもすでに可能となってきているようです。日本でも同様に、新しい治療法として保険が適用となる日も近づいてきているのではないでしょうか。

日本でも、治療の効果があり安全であることの報告は増えているのだとか。

我が国でも骨粗鬆症に伴う骨脆弱性病変に対するPVPの治療効果や安全性については、これまで数多く報告されており、概ね80%の疼痛改善率が示されている (20, 21)。また高齢者脊椎骨折の入院治療に関する施設特性別全国調査においても15%という浸透度が報告されており (22)、PVPは骨粗鬆症性椎体骨折治療において一翼を担う可能性があると考えられている。

出典: (PDF)骨粗鬆症性椎体骨折に対する経皮的椎体形成術 (Percutaneous Vertebroplasty:PVP)を安全に行うための指針[PDF]

とされていることからも、とても期待できる治療法として、今後を楽しみにしていきたいですね。

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