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胸椎圧迫骨折

骨粗鬆症などが原因で起こりやすい「胸椎圧迫骨折」の概要についてまとめてみました。

胸椎圧迫骨折とは

胸椎圧迫骨折もまた、腰椎圧迫骨折と同様に脊椎圧迫骨折の一種であり、外部からの衝撃によって脊椎の椎体と呼ばれる部分がつぶれてしまうことによって起こります。

一口に「外部からの衝撃」と言ってもさまざまで、交通事故、転落事故、スポーツ事故などに伴う激しい衝撃はもちろんのこと、転倒や尻もち、あるいは咳やくしゃみといった軽い衝撃であったとしても、胸椎圧迫骨折になってしまうケースがあります。

そうした軽い衝撃であっても脊椎の椎体が損傷してしまうのは、骨粗鬆症などによって元々の骨が弱くなってしまっているからです。

その証拠に、骨粗鬆症年代と言われる比較的高齢の女性に胸椎圧迫骨折の症状は多く見られます。

なかには痛みは感じていないけれど、実は胸椎圧迫骨折を患っているなんてケースもあります。

胸椎圧迫骨折による症状は、身動きを取ることができないほどの激しい痛みとなって表われることが大半ですが、さらに悪化してしまうと、下肢のしびれや麻痺を伴うこともあります。

症状が「痛み」のみであれば、保存治療、すなわちコルセットまたはギブスによる固定と安静によって治療することができますが、「しびれや麻痺」を伴う場合には手術という選択肢も検討すべきでしょう。

胸椎圧迫骨折の手術は、つぶれた骨を風船によって一旦持ち上げて、そうしてできたスペースにセメントを流し込むといった方法で行われます。

手術の目安時間はだいたい1時間程度ですので、それほど大がかりな手術というわけでは決してありません。

最近では、早期の回復と社会復帰を目指して、治療法として手術を選ぶ人も少なくありません。

なお、手術を行うことで骨折箇所は治癒しますが、胸椎圧迫骨折になったそもそもの原因が骨粗鬆症にある場合には、何かの拍子で別の箇所が骨折しやすいのも事実。

そうならないようにするために、適度に運動を行うなど、予防や再発防止に努めることが大事になってきます。

胸椎圧迫骨折の原因と症状治療法については、このあとのページでより詳しく解説していますので、そちらも併せてご覧ください。

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胸椎圧迫骨折の後遺症

胸椎での圧迫骨折は腰椎でのそれと並び、高齢者に起こりやすい骨折の一つです。背景として、骨密度が著しく低下する骨粗鬆症をもち、「尻もちをつく」ように転倒することで発症するケースが殆どです。

中には、椅子に座る際、着座スピードをコントロールできずに、勢いよく椅子に座っただけで受傷するケースもあります。

骨折を経験した人では、治癒後も何らかの症状が継続する傾向にあり、それらを後遺症と呼びますが、胸椎圧迫骨折の場合には痛み以外の後遺症も見受けられます。

胸椎圧迫骨折後に見られる後遺症とは

胸椎は12椎あり、体幹では背中の部分に当たります。脊椎一つ一つは、前方(腹側)は積み木のような椎体、後方(背中側)では椎弓と、上下脊椎と関節を構成する関節結節、そして棘突起で構成されます。このうち、圧迫骨折により椎体の変形が起こると、脊柱の弯曲に変化が起こり、様々な後遺症を齎します。

姿勢の変化による日常生活活動能力の低下

胸椎圧迫骨折による椎体の変形は、12椎で構成される胸椎の後方への弯曲を増強させます。 これを「円背(えんぱい)」と呼びます。

円背の発生は、その下にある腰椎の前方向への弯曲と、骨盤の傾き方へも影響します[1]。

特に、円背の発生によって腰椎での前弯が減少し、腰椎が直線状に変化した場合には骨盤が天井側を向く「後傾」の状態になります。

こうなると、体幹の前側の支えとなる腹筋が短くなることで筋力が低下し、日常生活上で行われる多くの動作に支障をきたすことになります。それは、腹筋が骨盤の安定性に寄与していること、そして、日常生活動作の多くで脚の筋力の発揮が必要となりますが、その際骨盤の安定が求められるためです[2]。

円背による胸郭の広がりが呼吸機能に影響

私たちの胸の部分、胸椎と左右12対ある肋骨、さらに胸の中心にある胸骨で構成される部分を、「胸郭(きょうかく)」と呼びます。 肺と気管、心臓と大血管、および食道を納めている部分で、私たちはこの胸郭を広げたり縮めたりすることで呼吸を行っています。

胸椎圧迫骨折による円背は、この胸郭を広げるように変化させます。息を吸うためには、そこからさらに胸郭を広げる必要がありますが、安静時で胸郭が拡張すると、そこからさらに胸郭が拡張できる予備能力が低下します。そうなると、健康な人と比べ肺活量が減少します。この肺活量の減少は主に、息を吸う予備能力、吸気予備量の減少に由来します[3]。

子供では胸椎圧迫骨折は起こらないのか?

胸椎圧迫骨折の原因が骨粗鬆症に多いとすれば、骨密度が比較的保たれている子供では、起こらないのでしょうか。

一般的に健康な子供では、胸椎圧迫骨折の頻度は多くはありません。胸椎部分の特徴として、胸郭とその内部にある臓器の存在により、胸椎の強度は腰椎のそれより高く保たれている点が挙げられます。

そのため、骨密度に極端な低下が無ければ、子供では胸椎圧迫骨折は起こりにくいのです。

しかし先天的、あるいは後天的に何らかの疾患を有している子供の場合は、少々状況が異なるようです。例えば、何らかの疾患により抗炎症作用を持つ副腎皮質ステロイドを継続して内服している子供では、ステロイドの副作用として骨密度の低下が起こります。

多くの胸椎圧迫骨折が骨粗鬆症を背景に発症することを考慮すると、子供であっても骨粗鬆症を呈していれば、胸椎圧迫骨折を受傷する危険性はあるのです。高齢者の場合もそうですが、受傷機転には転倒の他、重たいものを下から持ち上げる際にその重量が胸椎部分への負荷となり発症することもあります。

ただし、先ほども述べたように、一般に健康な子供での胸椎圧迫骨折の受傷頻度は、非常に低いといえます。

胸椎圧迫骨折の再発・再受傷には要注意

脊柱(背骨)の圧迫骨折は、再発することが少なくない疾患です。その原因は、最初の胸椎圧迫骨折の原因ともなる骨粗鬆症も挙げられますが、加えて圧迫骨折後に生じた姿勢の不良が再転倒のリスクを高めるためです。

また、一部の内臓器におけるがんは骨への転移を認めることがあり、このがん転移が病的骨折を引き起こすことは既に明らかになっています。

特に、背骨への転移は比較的珍しくはなく、それ故に胸椎での圧迫骨折が引き起こされる危険性があります。

胸椎圧迫骨折の再発・再受傷が生じる理由

背骨の一つ一つは円柱型をしていて、積み木のように重なることで脊柱を形成しています。

この積み木のような円柱、椎体の形状の変化は、体幹(胴体)の姿勢に大きく影響します。

圧迫骨折を受傷すると多くの場合、椎体は潰れます。

ただし、円柱が均等な厚みになるように上から押しつぶされたかのような変形なら良いのですが、大抵は椎体のお腹側のみが潰れ、背中側ではその厚みが保たれたままということが多いようです。

そのため、圧迫骨折を生じた部分よりも上、つまり頭側では、体幹がお辞儀をしたかのように前方に倒れたような姿勢、円背(えんぱい)になることが多いのです。

そうすると、重さ5kg程もある頭が前側に飛び出したような姿勢になります。そのままでは体全体が前に引っ張られたようになるため、骨盤や脚でバランスをとるための変化が出現します。

骨盤は恥骨が天井側を向くような後傾位となります。

骨盤後傾の程度が軽め、つまり円背の程度が軽度であれば、脚を伸ばしたままでも立っていられますが、骨盤内部にあると言われている体の重心が後ろ側に移ります。 人が立っているときは足の裏で地面を踏み支えていますが、健康な状態であれば土踏まずあたりにかかっているはずの重心が、かかと側へシフトします。

つまり、体全体が後ろ側に引っ張られたような形になるのです。 こうなると、ちょっとしたことで後ろへバランスを崩し、尻もちをつくように転び、胸椎圧迫骨折を引き起こしてしまうのです。

がんの転移も胸椎圧迫骨折の原因となる

女性の乳がん、男性では前立腺がん、また肺がんは、血液の流れによって骨へと転移しやすいがんです[4]。

「新陳代謝」という言葉がありますが、人間の体の細胞は常に生まれかわっていて、これによって体の状態が維持されています。 そして、骨でも同様に新陳代謝が行われています。 元々ある骨を破壊する「破骨細胞」と、骨を新しく作り出す「骨芽細胞」とが、その役割を担っています。

骨にがんが転移すると、がん細胞が破骨細胞の働きを活性化し、がん細胞は自分が増殖しやすい環境を作り、さらに破骨細胞が活性化されるというデッドスパイラル(悪循環)を生み出します。 こうなると当然、骨の強度は低下していきます。

背骨に限らずがんの骨転移が起こると、病的骨折を生じることが既に報告されています。 つまり、健康な時には特に傷害を生み出すことがないような軽微な刺激によっても、骨の損傷を生じてしまうのです。

一般的にがんの骨転移を生じると、骨折を起こす前に痛みを自覚することが多いようです。 これは、骨折という骨の明らかな異常が生じていなくても、骨粗鬆症によって痛みを自覚することからも容易に想像できるのではないかと思います。 また、一般的な骨や関節の痛みは、出現したり消失したりを繰り返すのに対し、骨転移による骨の痛みは、消える時期がなくそのまま続くことが特徴です。

そして、その痛みを放置しておくと、転倒などの明らかなきっかけがなくても、骨折を引き起こしてしまうのです。

もし、がんの治療歴があり、その後に骨や関節の痛みが続くようであれば、整形外科を受診した際には、がんの治療歴があることを医師に伝えることがとても大切になります。 単なる骨折なのか、それとも、がんの転移による痛みや骨折なのかによって、行うべき検査の内容は変わってきます。 がんの治療歴があり、背中にある一定の痛みがずっと続くようでしたら、病院でしっかりと検査をしてもらうようにしましょう。

胸椎圧迫骨折がどんな人に起こりやすいか?

骨粗鬆症によって圧迫骨折は起こりやすい

圧迫骨折が起こる原因は、骨粗鬆症により骨が弱くなっている人が転倒などの事故を起こすことによって発生するケースが多いです。

転倒の原因はさまざまですが、小さな段差でも転倒してしまうことは多く、骨粗鬆症で骨が弱っていると、特別な事故でなくても骨折してしまいます。

圧迫骨折しやすい部位に胸椎が挙げられ、胸椎圧迫骨折しやすい人は、お年寄りや閉経を迎えた女性などに多いようです。

骨量は20代がピーク

骨量は成長ホルモンの分泌が盛んな時期がもっとも多いといわれており、20歳くらいがピークだとされています。

その後、女性は閉経にともなって骨量がぐっと減っていきますし、男性も50代以降になると骨量が減っていきます。

骨量は人によって異なるため、ピークから少しずつ減っていく場合、ピーク時の骨量が多い人ほど骨量を長く維持することが可能です。

逆に、ピーク時の骨量が少ない人ほど、加齢などによる減少に伴って骨粗鬆症になりやすいといえます。

女性は閉経前に骨量を蓄えておく

女性は閉経すると骨量が減少していくといわれています。

そのため、閉経を迎える前にできるだけ骨量を蓄えておくことが重要です。

カルシウムやビタミンD、ビタミンKを積極的に摂り、適度な運動と日光浴をこまめに行うようにすることで、骨量は増えていきます。

それでも加齢などによって骨量が減少してきてしまった場合は、できるだけ胸椎圧迫骨折を起こさないように、転倒に気をつけるなど日常の事故に気をつけて生活することも大切です。

胸椎圧迫骨折によるリスク

胸椎圧迫骨折によって背骨が前かがみになり、猫背の状態が続くと、胸腔や縦隔、腹腔などの大きさが小さくなってしまいます。

胸腔が小さくなると肺活量が少なくなって疲れやすくなりますし、縦隔が小さくなると心臓の機能が定価し、心不全のリスクが高まるなどの危険性があります。

圧迫骨折は自分の気づかないうちに起こっていることもあり、気づいたときには症状がかなり悪化していた、というケースも少なくありませんので、自分の骨の状態を常に意識することはとても大切です。

痛みを感じたら病院に行って検査を受ける

骨粗鬆症は痛みを伴うことがあり、レントゲンを撮っても骨折などの症状は見当たらず、調べてみたら骨粗鬆症による痛みだったということは多いです。

骨粗鬆症による痛みは激痛ではなく、気になる程度の痛みであることが多いですが、ここで放っておくと症状がひどくなり、胸椎圧迫骨折しやすい骨の状態になってしまいますので、痛みを感じたらすぐに病院に行き、骨の検査を受けることをおすすめします。

ちなみに、骨粗鬆症と診断された人の1割以上が、骨粗鬆症由来の痛みを感じたとの報告gあり、その大半が閉経後の女性だったそうです。

骨粗鬆症に対する自覚を持つことで、進行を防ぎ、胸椎圧迫骨折の予防につながります。

定期的に骨粗鬆症の検査を受ける

骨粗鬆症の人は、全国で1,000万人を超えるといわれ、そのほとんどが女性なのだそうです。

先に紹介した閉経による骨量の減少などが主な原因と思われますが、骨粗鬆症は初期段階だと自覚症状がありません。

自覚症状を覚えたころにはかなり骨粗鬆症が進行してしまっているということも多いので、定期的に検査をして、骨量を把握しておくことをおすすめします。

検査によって現在の骨量が分かれば、どのような処置をして骨量を増やせばよいかということが明確になります。

早めに対処することで骨粗鬆症を防げますので、特に閉経を迎えた女性は骨粗鬆症の検査を受けることをおすすめします。

【参考URL】

参考[1]:日本腰痛学会雑誌Vol.8,No.1「骨粗鬆症患者の椎体圧迫骨折 脊柱変形とADL低下の関連」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yotsu/8/1/8_1_58/_article/-char/ja/

参考[2]:日本腰痛学会誌Vol.11,No.1「地域在住高齢者における腰背部痛が運動・生活機能に及ぼす影響」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yotsu/11/1/11_1_27/_article/-char/ja/

参考[3]:日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌Vol.14,No.3「高齢者の年齢および脊柱彎曲レベルによる呼吸機能の相違」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsrcr/14/3/14_458/_article/-char/ja

参考[4]:癌と化学療法Vol.38,Issue11「骨転移のメカニズムと抗RANKL抗体の作用」
http://www.pieronline.jp/content/article/0385-0684/38090/1439

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