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本当に怖いのは?圧迫骨折が引き起こす病状悪化・後遺症

このカテゴリーでは、圧迫骨折によって引き起こされるさまざまな病気・後遺症について調べ、その症状や対処法などをまとめてみました。

圧迫骨折そのものよりも後遺症の方が怖い?

一般に骨折では、保存治療によって骨がくっついてさえしまえば、痛みは解消します。そのため、たとえば手足の骨折ではそれ以上の治療は必要なくなることが多いです。

しかし、脊椎圧迫骨折においては、骨がくっついても、脊椎が変形するなどして痛みなどの神経症状をはじめ、様々な後遺症を引き起こす場合があり、この後遺症の方が怖いと言われています。

圧迫骨折によって引き起こされる症状には、たとえば以下のようなものがあります。

背骨の曲がり・ゆがみ

圧迫骨折によって脊椎の椎体がつぶれることで、背骨が異常な形に曲がったり・ゆがんだりしてしまう症状です。

背骨が横に曲がる症状を脊椎側弯症、後ろに曲がる症状を脊椎後弯症というのですが、より危険性が高いのは脊椎後弯症の方。背骨のあたりの痛みと、神経の痛みを伴うことがあります。

圧迫骨折が引き起こす背骨の曲がりやゆがみは、圧迫骨折に気づかず放置してしまったことで、何年も経ってから発覚することもあります。

慢性の腰痛だと思って病院に行くと、かなり前に起こったと思われる圧迫骨折の跡が見つかるのです。

背骨の曲がりやゆがみといった後遺症が起こると、立ったり歩いたりするだけで強い痛みが走るので、日常生活が困難になる上に、痛みはどんどん強くなっていきます。

痛みがあるのでだんだん外出することができなくなると、筋肉が衰えてしまって日常生活を起こること自体が難しくなってしまうケースもあるので注意が必要です。

こうした後遺症は、骨粗鬆症を患っている高齢者や女性に多いといわれていますが、骨粗鬆症にかかっていない人や、男性でも起こる可能性があります。

ゆがみを矯正する治療で症状が改善されることは多いですが、あまりにゆがみがひどい場合には、定期的に治療を受け続けなければならないこともあるようです。

圧迫骨折後、骨の治癒が正常に進まず、骨が押しつぶされ続けてしまえば背中が変形したり、偽関節などが生じてしまったりするケースがあります。特に、高齢者の方で骨粗鬆症が原因の椎体骨折患者では、全体の36.6%で進行性椎体圧壊が。偽関節が生じた人の割合は13.9%にのぼっていたとの報告もあります。偽関節とは、その名の通り、折れた骨を元に戻す骨癒合わが止まってしまい、骨組織とは異なる線維組織と呼ばれる組織で折れた場所が埋め尽くされてしまった状態をします。偽関節になれば、骨の安定性が低下してしまいますし、いつまでたっても痛みが残ることがあります。

参考:「骨粗鬆症性椎体圧潰(偽関節)発生のリスクファクター解析」臨床整形外科,2002
http://medicalfinder.jp/doi/abs/10.11477/mf.1408903522

神経麻痺・歩行障害

圧迫骨折によって骨がつぶれたことにより神経の通り道が狭くなり、神経が圧迫されてしびれや麻痺といった神経症状を引き起こします。

さらにその症状が悪化すると、杖なしでは歩けなくなったり、間欠的跛行といわれる症状を出すなど歩行障害につながる恐れもあるので注意が必要です。

圧迫骨折による神経麻痺や歩行障害といった後遺症は、神経を圧迫したまま骨が固まることによって起こる場合もあります。

神経麻痺の症状はすぐに表れないこともあるので、圧迫骨折との関連性に気づかないこともあるため注意が必要です。

また、ヘルニアに似た症状が起こることもあり、検査などを行わない場合ヘルニアと間違えてしまうこともあります。

歩行障害が起こってしまうと、当然ながら日常生活に支障をきたすことになりますし、麻痺によって自由に体を動かすことができなくなるので、かなり不便さを感じてしまうでしょう。

また、麻痺によって血行障害を併発する恐れもあります。

血行障害がひどくなると筋肉が緊張して十分な動きを行うことができなくなるなどの問題が生じます。

あまりに症状がひどくなってしまったときは、手術をして症状を緩和することになります。

手術では、神経を圧迫している周りの骨を削ることで圧迫を解消し、麻痺や痛みを緩和することを目的として行われます。

圧迫骨折により神経麻痺や歩行障害が生じてしまえば、日常生活動作(ADL)は著しく低下します。
中でも遅発性神経麻痺は、骨がつぶれたり変形し、脊髄などの神経を圧迫することにより引き起こされる神経症状です。圧迫骨折後の神経麻痺や歩行障害発生率に関する統計はそれほど多くないものの、骨粗鬆症性腰椎圧迫骨折患者のうち、遅発性神経麻痺が見られた症例を調べた研究では、骨折から痲痺発症までの期間は平均4.8か月だったと報告されています。神経麻痺が起こった場合には外科治療による治療が用いられることもあります。

参考:「骨粗鬆性胸腰椎圧迫骨折に伴う遅発性神経麻痺13例の手術成績」中部日本整形外科災害外科学会雑誌 ,2009
https://www.jstage.jst.go.jp/article/chubu/52/1/52_1_67/_article/-char/ja/

逆流性食道炎

背骨が曲がった状態でくっつく(癒合する)と、その影響で今度は腹部が常に圧迫された状態になります。

腹部が圧迫されることで、胃液が胃から食道へと逆流して炎症を起こしてしまう症状が逆流性食道炎です。胸やけに似た症状を発します。

また、腹部が圧迫されることにより、食事の量を思うように摂れず、体力が落ちたり、さらに骨が弱くなったりといった問題が生じる場合もあります。

逆流性食道炎が悪化してしまうと、食道の粘膜を傷つけてしまうことがある上に、食道がんなどの深刻な疾患に発展してしまう可能性があるため、治療を行う必要があります。

逆流性食道炎から食道がんに発展しやすい人には、お酒を定期的に飲む人や喫煙者、刺激物を好む人が多いといわれています。

逆流性食道炎は圧迫骨折の後遺症ではなく発症することのある疾患です。

胸焼けなどの症状のほか、げっぷが頻発したり、食べ物が飲み込みづらくなる、声が枯れてしまう、口内炎が多発するなどの症状を起こすこともあります。

食生活の改善によって症状が緩和されることもありますが、改善されない場合は薬物療法で胃酸の分泌を抑えたり、食道の運動機能を促進する薬を用いて治療を行います。

しかし薬物療法でも十分な効果が得られない場合には、物理的に胃酸の逆流を抑えるために、手術を行うこともあります。

手術にはリスクが伴うため、できるだけ症状が悪化しないうちに、早い段階で医師の診察と治療を受けることが重要です。

有病率が上昇しているという報告もある逆流性食道炎。骨粗鬆症と同じように、逆流性食道炎の有病率は高齢者の中でも特に女性が多いと言われています。

Furukawaらは,逆流性食道炎の年齢階層別有病率は,60歳までは女性は男性よりも有意に有病率が低かったが,60歳以上になると女性の有病率が急上昇し,重症型の有病率も増加していたと報告している

出典:「GERDと骨粗鬆症に伴う危弱性骨折による亀背,それによる食道裂孔ヘルニアとの関連」medicina,50(5),2013
http://medicalfinder.jp/doi/abs/10.11477/mf.1402106793?journalCode=1402

これは、骨粗鬆症による亀背が腹圧の上昇をもたらすことが原因と考えられていますから、圧迫骨折が同じように逆流性食道炎を誘発することがあるというのも簡単に想像できるのではないでしょうか?

参考:「高齢者骨粗鬆症のQOLへの脊椎骨折の影響 (新時代の骨粗鬆症学--骨折予防を見据えて ; QOL)」日本臨床 65(-) (通号 925) (増刊9) 2007
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000002-I9267072-00

膀胱直腸障害

圧迫骨折に伴う麻痺症状は、身体のさまざまな部位に表われます。

膀胱直腸障害は泌尿器に表われる症状で、神経が圧迫されることにより尿意・便意を感じにくくなるため、失禁・頻尿・便秘などを引き起こします。

以上のような症状が表われてしまった場合には、単なる保存治療では不十分な場合もあり、治療のためには神経の圧迫を取り除き、あるいは変形した脊椎を矯正するために器具を用いて固定する手術(TLIFおよびPLIFXLIF)が必要となる場合があります。一度整形外科を始めとした専門医に相談してみると良いでしょう。

おしっこをしたいと思っていても、尿意が脳から膀胱に伝わることができずに失禁してしまう、という症状になります。

直腸であれば、同じ理由で排便をスムーズに行うことができないという深刻な症状です。 直腸障害の場合は、便を失禁してしまうほか、便秘を引き起こしてしまうこともあります。

こうした症状が気になって外出に躊躇してしまい、体を動かさなくなってしまうと、それが原因で筋力の低下などを引き起こすこともあります。

圧迫骨折によって膀胱直腸障害が起こっていたとしても、圧迫骨折をした後すぐに症状が起こらないことも多いので、圧迫骨折との因果関係がつかめないことも多いようです。

圧迫骨折の骨折によって神経が切れてしまった場合などは、逆にほかの症状が表れているために膀胱直腸障害が起こっていることを見落とされてしまうことも少なくありません。

排便しにくいなどの自覚症状がある場合は、早い段階で医師の診察を受ける必要があります。

腰部脊柱管狭窄症により排尿障害が発生する頻度は11〜21%と決して低い数字とは言えません。しかしながら、膀胱直腸障害が発生するかどうかは、圧迫骨折による麻痺レベルや骨折の箇所によっても異なります。

通常,頸髄圧迫疾患における神経因性膀胱の発生頻度は約30%〜50%,腰部脊柱管狭窄しょうの排尿障害の頻度は11%〜21%との報告があり,頻度的には決して少なくないと言える.

出典:「脊椎 ・脊髄疾患に伴う排尿障害について」,2000
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai1951/49/3/49_3_674/_pdf

骨粗しょう症性の圧迫骨折に対する手術を行うことで、排尿障害の程度が改善されるケースもありますので、治療法に関してはしっかりと医師と相談をして選択していきましょう。

参考: 「脊椎 ・脊髄疾患に伴う排尿障害について」,2000[PDF]
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai1951/49/3/49_3_674/_pdf

圧迫骨折で多い後遺症

骨粗鬆症由来の圧迫骨折による後遺症は、高齢の方の場合、日常生活動作( ADL)の低下だけでなく、生命予後も悪化させることが様々な研究でわかっています。例えば、2010年に発表された研究では骨粗鬆症関連骨折となった方の受傷後2年での生存率は著しく低下。受傷後10年の生存率も、骨折をしなかった方と比べると低いことがわかっています[1]。

参考[1]:「医療計画におけるロコモテイブシンドローム対策の重要性」厚生労働省,第2回在宅医療及び医療介護連携に関するWG資料,2017[PDF]
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135471.pdf

圧迫骨折による後遺症には神経麻痺や歩行障害、逆流性食道炎、膀胱直腸障害、背骨の曲がりや歪みなどがありますが、さらに気をつけたいのが保存治療時に筋力・骨量が低下して廃用性症候群になってしまうことです。

高齢の方の場合、骨折後に歩行能力を失い寝たきりになってしまったり、歩行障害によりADLが低下することは珍しくありません。介護が必要になってしまえば、生活の質(QOL)が低下するばかりか、心身が不活性化してしまいます。

そのため、特に高齢者の圧迫骨折では後遺症の一つとして廃用性症候群をいかに予防し、受傷前の生活に復帰するかが大切なポイントとなります。

老年期に起こりやすい問題の中でも店頭と最も関連が深いのは寝たきりである.〜中略〜寝たきり老人の調査では従来では原因は脳血管障害が多くを占めていた.しかし,の嘘中予防に関する保険活動が定着するにしたがって寝たきりの原因も転倒・骨折が徐々に増加しており,脳卒中に変わって主要な原因の一つになりつつある.
〜中略〜
老年期に起こりやすい問題の中には,比較的健康レベルが良好な時期にも老化の兆候として何気ない日常で起こったことが,今後, 起こりうる障害やADLの低下の前兆として現れることもある.したがって,店頭・骨折予防ケアには健康レベルの高い状況から重度まで幅広いレベルを対象としたケアが必要とされる

出典:「転倒・骨折の予防に関する研究について(シンポジウム「老年者に起こりやすい問題とケア研究の方向性」,<特集>日本老年看護学会第3回学術集会)」老年看護学,1999[PDF]
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jagn/4/1/4_KJ00005799333/_pdf/-char/ja

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